介護保険外サービスとは
介護保険外サービスとは、文字通り介護保険制度の範囲を超えた、介護に関するサービスを指します。
介護保険が対象としない領域や、介護保険制度が抱える制約に対応した形で提供され、より多様なニーズに応じることができます。
介護保険外サービスは、保険を利用せず、全額自己負担で受けるサービスであるため、「自費サービス」とも呼ばれます。
介護保険外サービスには、介護保険ではカバーできない範囲を超える一時的なものから、特別な病状に対応したり、非日常を提供する大きなものまで非常に幅広くあります。
これらのサービスは一般的に自由な価格設定が可能であるという点が特徴です。
また、保険の範囲外という性質上、柔軟で独自のサービスが展開できるのも大きな特徴のひとつです。
介護保険制度とは
介護保険制度とは、介護が必要とする方を社会全体で支えることを目的に、2000年(平成12年)に創設された、社会保障制度のうちのひとつです。
65歳以上の方を第1号被保険者、40歳以上65歳未満の医療保険加入者を第2号被保険者とし、要介護認定または要支援認定を受けた方を対象に、1割から3割(所得に応じて変動)の自己負担で介護サービスを受けられる仕組みです。
介護保険を利用して受けられる「介護保険サービス」は▽こちら▽にまとめています!
この記事にもあるように、様々なニーズや目的に合わせて、介護保険制度を利用して、少ない自己負担で受けられる介護保険サービスは本当にたくさんあります。
しかし、あくまでも相互扶助の精神に基づく公的な社会保険のうちのひとつであり、上記の対象者の他に、保険適用の範囲は細かく定められているのが特徴です。
そんな介護保険サービス以外のサービスを「介護保険外サービス」といいます。
介護保険サービスの限界
介護保険制度は、高齢者の介護を支える確固たる柱であり、その存在なくしては現代の高齢者福祉は成り立ちません。
介護保険制度の存在は介護を必要とする方やその家族にとって大きな支えとなり、その必要性に異論の余地はないでしょう。
しかし、その一方で介護保険によるサービスの限界も明らかになりつつあります。
制度上、保険が適用する範囲は限られており、利用者やその家族の要望に100%応えることができないという問題があげられます。
これに対し介護保険外サービスは、そうした要望に柔軟に対応し、個々のニーズに合ったサービスを提供するという特徴があります。
介護保険外サービス利用のメリット
介護保険外サービスの大きな特徴は、その柔軟性です。
例えば、訪問介護や通所リハビリテーションなどのサービスは、一人ひとりの身体状況やニーズに応じて頻度や時間を調整することが可能です。
また、通常の介護保険サービスでは、提供できない特殊な介護サービスを選ぶこともできます。
特定の病状に細かく対応した介護、専門職による個別対応などのサービスが含まれますが、個人が普通に日常生活を送る上で「当たり前に抱く希望」や、「何気ない夢」を叶えられることも、介護保険外サービス利用のメリットです。
介護保険外サービスは、利用者ひとりひとりのライフスタイルや価値観を大切にし、その人らしさを尊重します。
また、介護保険サービスでは、保険の仕組み上対象者は要介護者または要支援者に限られますが、介護保険外サービスでは、要介護者等を支援する家族などを支える役割も果たしています。
これらを上手く利用することで、介護を必要な状態になっても安心して生活を送り、生活の質を高めながら、自分らしい生活の実現を目指すことができるでしょう。
介護保険外サービス活用のポイント
介護保険外サービスの活用にあたっては、何よりも介護を必要とする方自身や家族の要望を明確にした上で選ぶことが重要です。
介護保険を利用して受けられるサービスだけでも多岐に渡りますが、介護保険外サービスの範囲は本当に幅広く、多種多様なサービスが存在します。
自分たちにあったサービスの提供先を探し、最適な介護保険外サービスを活用することで、より良い介護生活を送ることが期待できます。
介護保険外サービスの具体例
- 趣味や散歩、旅行のための外出支援
- 同居家族の援助を含む家事援助
- 大掃除に該当する掃除や、家具の移動、修繕
- 草花の水やり、ペットの散歩を含む世話
- レクリエーションの提供
- 配食サービス
- 買い物代行サービス
- 訪問理美容
- 緊急通報システム
- 見守り・コミュニケーション・傾聴
介護保険外サービスの範囲
上記にあげた具体例はほんの一部に過ぎません。
適用の範囲が定められる介護保険サービスに対し、介護保険外サービスではその範囲に定めがありません。
当然保険が適用されないため、少ない自己負担でサービスを受けられる介護保険サービスに比べ、費用が高額になる場合がありますが、反対に無料で受けられるサービスもたくさんあります。
むしろ、介護保険外サービスに範囲はなく、家族やボランティアなど、介護を必要とする方を想い、行うすべての行為を、介護保険外サービスと言えるのではないでしょうか。
介護保険外サービスでは、サービスを提供する側にとっても、自分の特技や趣味、知識を活かし、支援に繋げることができます。
介護保険外サービスを通して、また「介護」という行為を通して、誰かを想う人々が支え合い、尊重し合える輪を広げていけることに期待しています!
介護保険外サービスの今後
近年の高齢化社会の進行と共に、介護保険外サービスに注目が集まっています。
それは、自助・共助を重視した街づくりや、安心して暮らせる地域づくりといった地域全体での介護体制の見直しを求めているからです。
そして、その一翼を担っているのが、「介護保険外サービス」です。
その上で、地域特性やニーズに沿った柔軟なサービスの普及が期待され、個々の介護の形が違う中で、いかに多様なニーズを細かに捉え、最適なサービスを提供するかが今後の課題となるでしょう。
まとめ
- 要介護認定または要支援認定を受けた方を対象に、1割から3割(所得に応じて変動)の自己負担で介護サービスを受けられる介護保険サービスに対し、その保険適用の範囲に含まれないサービスを介護保険外サービスという。
- 多様なニーズに応じることができ、介護保険ではカバーできない範囲を超える一時的なものから、特別な病状に対応したり、非日常を提供する大きなものまで非常に幅広く存在する。
- 家族やボランティアなど、介護を必要とする方を想い、行うすべての行為を、介護保険外サービスと言うことができ、サービスを提供する側にとっても、自分の特技や趣味、知識を活かし、支援に繋げることができる。
前回の介護保険サービス一覧に続き、今回は介護保険外サービスについてお伝えさせていただきました。
介護を受ける側や提供する側にとって、介護保険制度はしっかり理解する必要のある重要な制度のひとつですが、介護保険外サービスは、介護という行為を通して、誰かを想う人々が支え合い、尊重し合うために欠かすことのできないサービスだと思います。
増え続ける様々なニーズやいろいろな方の思いを、少しでも多く叶えられるよう、介護保険サービスと介護保険外サービスを上手く組み合わせて活用し、介護が必要になっても、介護が必要になったからこそ、抱くたくさんの「あったらいいな」の実現に貢献できる一人になりたいです。